魔王が去っても苦難は続く『ロメリア戦記〜伯爵令嬢、魔王を倒したあとも人類やばそうだから軍隊組織する〜』

魔王が去っても苦難は続く『ロメリア戦記〜伯爵令嬢、魔王を倒したあとも人類やばそうだから軍隊組織する〜』


氷雨
氷雨

こんにちは、女性向けなろうコミックをレビューしている氷雨と申します。

今回紹介する作品はこちら!『ロメリア戦記〜伯爵令嬢、魔王を倒したあとも人類やばそうだから軍隊組織する〜』です。

この作品は婚約破棄ものというには少しかっちりした印象を与えると思います。戦記ものであり主人公が聡明のため周りとの関わりをしっかり見せてくれます。

そのため、私も時間を忘れて黙々と読み進めてしまいました。

では、まずはあらすじから参りましょう。


あらすじ

「ロメ、いや、ロメリア伯爵令嬢。君とはもうやっていけない。君との婚約を破棄する。国に戻り次第別れよう」

アンリ王子にそう切り出されたのは、念願の魔王ゼルギスを打倒し、喜びの声も収まらぬ時であった。

しかし王子たちは知らない。私には『恩寵』という奇跡の力があることを

何もしていないパーティメンバーと思われた……

魔王討伐の任を与えられた王子と共に冒険していた主人公のロメリア。しかし、本人に戦う能力はなく、もちろん治癒の力もありません。

しかし、彼女の存在はパーティメンバーをしっかりと支えるものでした。その能力は、情報収集や資金管理と地味だけれどとても大切な部分です。

何事にも、地味な仕事ほどとても大切なんですよね。だからこそ、欠けてしまうと途端に崩れてしまうといえます。地味なので表立って戦う戦士たちよりも軽視されがちです。それに、褒められることも稀なんですよね。

ロメリアが支えてくれていたからこそパーティは進行できたのです。魔王が討伐されたあと王子の婚約者として一緒に行動していたものの、攻撃ができないからこそ無能だと思われたのでしょう。突然の婚約破棄を言い渡されます。

ロメリア自身あまり王子に気持ちを向けていなかったこともあり、そこまでショックは受けていません。しかし、この後を考えて少し憂鬱な気分になるのでした。

私としては、こういった縁の下の力持ち的なポジションって好きなので、ロメリアが素敵な人だなと思うのですが、なかなかそうは思ってもらえていないようで……。

自分の考えをきちんと持っている彼女は凛とした素敵な存在だと思いますよ。まぁ、考え方によっては「可愛げがない女性」と見られてもおかしくはないのかもしれないですね。

彼女が持つのはとても小さな奇跡

何も戦う力を持たない彼女が王子たちについていったのには理由があります。それは、「恩寵」という力を持っていたから。

王子たちが旅立つ前日、祈りを捧げているなかで荘厳な声と共に与えられた力は、「周囲の仲間に幸運と好調をもたらし、敵対する者に不運と不調をもたらす」というものです。

いわゆる、小さな幸運を彼女が周りに与えることができるという代物……そう考えると、なかなかすごい力だと感じますよね。

小さな力だけど相手にとっては絶大な力となって返ってくるもの、そういう意味では絶対に敵に回したくない能力だなと感じます。

そして、婚約破棄の後に辺境の土地へと赴いたロメリアは、その砦から少しずつ魔王討伐の後の掃除に取り掛かるのです。

実際に行ったことは、自分だけの軍を作るために新兵を集めて訓練させること。そして、その土地の財務関係の整理を行うこと。

下地を作ってからその土地で問題になっている魔物を討伐することで戦闘の実績を積んでいくロメリアたち。

そして、魔王軍の偵察隊を倒した際に数名が大怪我を負うことになります。もちろん、ロメリアも小さくは無い傷を負います。

自分も前線に出て指揮を取る姿は、とても凛々しく格好良かったです。しかも、自分の持つ能力をキチンと理解しているからこそ、どういう立ち回り方をすれば仲間たちを無事に勝たせることができるかを考えて行動できます。

その覚悟の決め方も好感の持てるポイントですね。あんな格好いい指揮官であれば、ついて行きたいと感じますね。

軍は着実に大きく成長する

ロメリアと新兵たちの活躍により、軍は着実に大きく成長していきます。そして、商人との繋がりや回復を行ってくれる癒やし手たちとの繋がりも確保することができたことで、安定感をましていくのです。

また、元々この辺境の土地を仕切っていた領主の横領や武器の横流しなどを暴き、捕らえることに成功しています。

周りには一見何をしているのかわからないことでも、最終的には大きな結果に結びつくことをしっかりと見せてくれる話の運び方は、読んでいてとてもスッキリする部分ですね。

自分よりも周囲の平和や安心のために行動できるロメリアは、ある意味王妃としてふさわしかったのだと思います。

まあ、ロメリアの話も周りの話も聞かない王子には誰もついていかないとは思いますが……これは付ける薬がないですね。

実際、今貴族や軍の信頼が厚かった人物を自分の感情1つで更迭してしまったのですから、軍内部から命を狙われている状態ですし。

自業自得といえばその通りではありますが、流石に王子ほどの人間なら、人の考えている物事に裏があることぐらいわかりそうなものです。そんなものとは無縁な世界で暮らしていたのなら、話は別ですが……。

氷雨
氷雨

王子は絶対に婿には取りたくないですし、嫁にも行きたくない存在といえます。これは、私個人としての意見ですので、あしからず。

おわりに

この作品は女性主人公のコミックではあるけれど、とても固くしっかりとした作品だと感じました。それに、周りにいる新兵たちもなかなか曲者揃い。

読み進めていくうち、トントン拍子に物事が実を結ぶ様子を見ていると、安心感と共にワクワクした気持ちとなります。

もし、スカッとしたい気分や女性主人公が頑張っている作品を読みたい時には、ぜひ手にとってみてください。

聡明で行動力のある主人公の行動がとても楽しいと感じますよ。

氷雨
氷雨

それでは、今回はここまで。また次の作品でお会いしましょう。