のんびりと進む話の中に胸キュンが隠れている?「転生しまして、現在は侍女でございます」

のんびりと進む話の中に胸キュンが隠れている?「転生しまして、現在は侍女でございます」

氷雨
氷雨

こんにちは、女性向けのなろう向けコミックをレビューしている氷雨と申します。

今回レビューする作品は、こちら!「転生しまして、現在は侍女でございます」です。

大人気の転生ものであり、可愛らしい女の子や男の子、もちろんイケメンも出てきますよ。では、簡単なあらすじから……。

あらすじ

ユリア・フォン・ファンディッド。ひっつめ髪に分厚い眼鏡、不愛想な王女専属の侍女。そんな彼女、実は転生者で、メインキャラとはまったく関係ない位置にいたのにヒロインのライバルキャラとなる王女のお世話係になった。

その途端、子供好きで世話好きの心に火が点いた!王女のことが可愛すぎて、彼女が結婚する時にはついていくなんて言い出した日には王女の方がユリアを心配する。

果たしてユリアは恋愛に目覚められるのか?目覚めたとして、ちゃんと成就できるのか?

転生もので主人公の過去はサクッと説明されるだけのシンプルな作りになっています。むしろ、前世の話はそこまで表に出るわけではなく、スパイス程度の味付けなのでくどいと感じることはないと思います。

悪役令嬢になったのもしっかりと理由がある

主人公が転生した場所は生前にプレイしていたゲームの世界、そしてその中で自分はモブキャラとして生まれ変わったという点に、私は好感を抱いているのです。基本的にメインの主人公に生まれ変わる設定が多い中で、モブを選ぶのはなかなかお目が高いと感じます。

そして、その中でもゲームの中では悪役の立ち位置にある王女様の侍女ですから、初めはどんな感じなのかとびくつきながらページをめくっていました。しかし、なんとまぁとても可愛らしいじゃないですか。作中でも主人公が呟いていますが、本当に可愛らしい。

確かに天使のようだと感じました。……こう感じるのも、私に娘がいることが理由に挙げられそうですが、それはそれ。しかも、そのお嬢様の母親からも目をかけてもらっていた過去も描かれていて、大事にしたいと行動する主人公には共感するポイントは多くありました。

氷雨
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自分の子どものように育てていると、自然と目をかける機会も増えていくものですね。

そして、ゲーム内のお嬢様がどうして悪役令嬢になっているのか。その理由もユリアの視点からきっちりと描かれています。確かにゲームをプレイしている中では、主人公の視点でしか物事を見られないからこそ、悪役の背景までは理解できないもの。

その背景を知ったうえで、ゲーム内のセリフを振り返ると見方も変わってくるという表現の仕方はとても納得しました。まだ悪役令嬢として活躍する前の段階を描いているからこそ、ユリアはお嬢様のプリメラを正しく導いていこうとする気持ちもわかります。やはり、娘はできるだけ幸せになってほしいと願う気持ちは、親なら持っているものなのですね。

派手ではないけれど、日々を穏やかに過ごしつつプリメラを幸せにするために努力するユリアの姿はどこか応援したくなるような気持ちになりますし、自分だけでもお嬢様のためにそばにいることを決意する姿勢も好感が持てます。

自分の立ち位置をしっかりと理解している

もし、自分がどこかの世界に転生した場合、魔法があるのなら使ってみたいと思うのは普通のことですよね?少なくとも、私は使ってみたい!魔法で炎を出したり、水を出したり、色々使えるのなら頑張りたいと思うのは自然だと感じます。

それはユリアも同じだったようで、お嬢様をお世話する中で、魔法に触れる機会が訪れるのです。そして、使ってみるもののすべて弱い威力のものばかり。その事実に始めはショックを受ける主人公ですが、その弱さを生かす使い方を考え付く流れがとても素敵です。威力が弱いのなら、その弱さと共に繊細な力加減を習得すればよいという姿勢は格好良いと感じます。

氷雨
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自分にできる精一杯を習得しようと行動するユリアは、やはり芯の強さを持っている格好良い女性です。

また、作中にイケメンな伯爵や国王陛下の弟との出会いがあるものの、自分の立場や何を一番大事に思っているのかをブラさないので見ていて気持ちが良いです。

後半でも語りますが、少しずつロマンスの芽も出てくるので、穏やかなストーリーの流れではあるけれど胸キュンする部分も少しずつ増えていきます。そのときめきの量が程よいので、読みながら一息つけるような感覚になってしまいました。

ロマンスの芽が少しずつ……

先ほどの項目で挙げたイケメン伯爵のアルダールですが、まぁイケメン!作中でもありますが、髪に花びらがついているからといきなりの急接近は、心臓が止まってしまいそうになるもの。

現実で考えたら、今話題のイケメン俳優さんに突然近づかれて、目元近くとか耳元にある花びらを摘まんで「失礼、髪に花びらがついていて……」と低く囁かれるというシチュエーション。すみません、多分私その場面、耐えられそうにありません。

そんな場面に自分がであった場合、ユリアのように心の中で「不意打ち止めて!!」と叫びたくなるのもわかります。だって、主人公の中身は私たちのように年頃の女性なのですから!

氷雨
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イケメンにいきなり急接近されたらさすがに叫ぶでしょう⁉(実際ではなく心の中で!)

また、この男性以外にも国王陛下の弟であるアルベルトも接点があるのですが、こちらのイケメンは少しあごひげを蓄えたワイルド系のイケメン。また違った良さがあります。ちょい悪な男性も魅力的ですよね。

アルベルトはどちらかというと、飄々とした雰囲気で主人公を煽るような動きを見せてくれるタイプですが、いざという時にはとても頼りになるという保護者のような気軽さを持った人になります。

個人的には、どちらも好みではありますが、アルベルトの方が好きかもしれません。あまり出番が多くないのと、まだ主人公との絡みが少ないので後々変わるかもしれませんが、旦那さんとして一緒にいるのはなかなか楽しそうではありますね。

正統派の王子様タイプであるアルダールも捨てがたくはありますが、どうしても腹黒さがちらついてしまうというか……。そこもまた魅力ではあるのですが、私的には少し苦手とするタイプです。

主人公の一番はお嬢様ですから、あまりロマンスに対して意識を向ける機会は少なく感じますが、次第に男性との絡みも増えていくので今後が楽しみといえます。何やら一巻の最後では、主人公が大きな舞台に立つようですし、どうなるかわくわくしますね!

転生先が未来の悪役令嬢の侍女という立場ではありますが、むしろ悪役令嬢に育たないように矯正していくという流れはなかなか面白いと思います。それに、イケメンたちとのロマンスも甘すぎず適度な距離感を保っているのは、大人の女性らしいなと感じる部分も多いです。

おわりに

もし、怒涛の展開の作品を読みすぎて疲れてしまった人や、可愛らしい絵柄を求めている人はぜひお手に取ってみてください。現在は4巻まで発売されていますので、求めやすい量だと思います。

甘すぎない恋愛模様を楽しみたいのなら、オススメですのでぜひ。

氷雨
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それでは、また次のコミックでお会いしましょう!