どことなく味が薄くてもやもやする『穏やか貴族の休暇のすすめ。』

どことなく味が薄くてもやもやする『穏やか貴族の休暇のすすめ。』

氷雨
氷雨

こんにちは、女性向けのなろうコミックをレビューしている氷雨と申します。

今回紹介する作品はこちら!『穏やか貴族の休暇のすすめ。』です。

どことなくBLの雰囲気を持ってはいますが、さて、どんな作品でしょうか。早速、あらすじとまいりましょう。

あらすじ

ファンタジーな世界からファンタジーな世界へトリップした穏やかな貴族の男の話。

特に異世界の恩恵とかは無いけど、基本的に危機もない。帰れるまで全開貴族的な意味で二度見されながら、冒険者としての日常を送るほのぼのストーリー。

唐突な始まり方

作品を読み始めたら、唐突に主人公が「ここは、どこだ?」的な感じでスタートする作品ですが……久しぶりにのっけから頭に?が浮かびましたね。

主人公がどんな人間なのかも図れない入り方なのでなんとも判断しづらい、という感覚です。

それと、主人公自身は自分の知らない世界にいる認識があるのはすごいと思いますが、どうして……冷静に判断できるのか。んー、異世界転生なのか転移なのかはわかりませんが、わくわくする雰囲気は出ているような感じといいますか。

男性2人が凸凹コンビとして絡む様子が見ていて楽しいと感じる人であれば、読んでいてもワクワクする場面も多いと思いますよ。

BL……なのか?

この作品にほとんど女性は出てきません。というよりも、女性が一人も出てない気がします。ベースにBLの傾向があるからとは思いますが、主人公のリゼルはなんというかフワフワと掴みどころのない雰囲気を持っているのです。

その雰囲気ゆえなのか、周囲の人間ほとんどから好かれているというか……彼がすることに対して、普通は失礼なことだとしても許される部分があり、もどかしいなと感じてしまうんですよねぇ。

初対面の相手に対して図々しくお願いをしても受け止めてもらえるような感じや、ほだされる相棒の様子に、どうしてもモヤモヤしてしまって……。まぁ、雰囲気漫画としてなら、良い作品なのかなと思います。

あ、あとキャラはとてもイケメン揃いですよ。ショタからイケメンから寡黙な男性とか、いろいろな属性があるので、見ていて楽しいですよ。

ただ、なんだろう……作品として面白いかどうかを考えると、コメントに困る部分はあります。どうしても、その……世話焼き相棒と主人公の天然さのバランスは、良いかもしれないけれどうまく呑み込めないのが申し訳ない部分ですね。

趣味としては、「一刀」の二つ名を持つジルは好みではありますね。うん、世話焼きの相棒とか、見ていて私の好みにハマりますね。そういう意味では、良いと思います……うん。

味は薄いけど雰囲気は良さそう

うーん……なんというか、ほのぼのと話が進んでいくので、どうしても刺激が欲しいと感じてしまう部分は否めません。私自身、さまざまな作品を読んではいますが……癒しを求めているのであれば、良い作品だと思います。

ただ、セリフ回しが少し急すぎるなと感じる場面が多く、うまく感情移入ができなかった印象です。

もう少し心理描写を入れてもらえると、どうしてその言葉が出てきたのかという面がわかると思いますし、イラストで表すところも必要になりそうだなという気持ちですね。

ちなみに、この作品は男性同士の「友情」がメインとなります。

BLの要素があるとしても薄いとは思いますので、苦手だと感じる方でも手に取ってもらえるとは思いますよ。

もう一点気になってしまったのが、異世界ものとは言うけれど、冒険しないなと少し感じましたね。

もともと主人公が別の世界の貴族で、自分のスタンスを変えないままのんびりしているので、あまり盛り上がる場面がないのです。

しかし、のほほんとした空気感や相棒であるジルとの関係性が好みだと感じる人にはハマる作品だと思いますよ。ただ、この作品は小説版を読んでいないとわからない部分が多いようにも感じます。

漫画から入ってしまうと、キャラがどうしてその行動をするのかという部分や、言葉の意味をなかなか受け止めきれないと感じてしまいます。

……やはり、作品を書くうえで物語や舞台の背景はきちんと書いておく必要があると思いますよ。じゃないと、納得しながら読み進めることが難しくなりますから。それに、異世界ものだからこそ、冒険する描写は入れたほうが良いかと。

この題材で書くのであれば、異世界冒険ものでなくても良かった気もします。普通に現代が舞台でも行けそうな気もしますが……難しいかな?

おわりに

イラストは好みではありますが、どうしても全体的に説明不足感が否めない作品だなと感じます。主人公と相棒のツーカーの関係を示したいのは何となくわかりますが、それにしても説明がなさすぎる気が……。どうしても、こうもやもやしてしまうんですよね。

あと、BLにしても判断が難しいラインだと思います。BLというジャンルに割り振るのであればもう少し絡みを深めなければいけないですし、それ以外だと男性同士の距離が近すぎる。

どっちのラインに振り切るのかをしっかりと決めておかないと、なかなか評価が定まらないですね。

私もBLとしては薄く、異世界冒険ものだと盛り上がりにかけるので、面白いと感じるには少し難しいと思います。

ですが、登場人物はみなイケメンですし、さまざまな種類の男性がいますので誰かは必ず自分の好みに当てはまると思いますので、ぜひ手にとって読んでみてくださいね。

氷雨
氷雨

では、また次の作品でお会いしましょう。