こんにちは、女性向けのなろうコミックをレビューしている氷雨と申します。
今回レビューする作品は、こちら！「ずたぼろ令嬢は姉の元婚約者に溺愛される」です。
なろうで人気の溺愛ものであり、自分が貧乏くじだと感じている主人公のマリーの意識を少しずつ変化させていくようなお話になります。では、まずはあらすじを……。
あらすじ
貧しい男爵家の令嬢は、姉妹で全く扱いが違う。誰からも愛される美しい姉と、「可愛くない」と両親からも迫害される妹、マリー。髪は毛玉だらけ、ドレスなど無く、ずたぼろの作業服を着たずたぼろの令嬢。姉はある大貴族に見初められたが、嫁入りの道中、突然の事故死。「わたしが姉の身代わりなんて、無理に決まってます！！」
しかし、姉へのプロポーズは相手の勘違いによるものだった！？
今まで親からもひどい扱いをされていた主人公が少しずつ自分が愛されても良い存在だと自覚していく物語になります。この作品を読んで、マリーが自己主張するのが苦手だと感じる姿に胸が締め付けられるような感覚になりました。しかし、同時に愛される幸せを実感できる良い作品になっていると思います。
自信の無さは愛情でカバーできるか
主人公のマリーは元々どこにも嫁ぐつもりはなかった人物であり、親からもぞんざいに扱われていました。しかし、姉だけは違った。ちゃんと寄り添い、優しくしてくれたからこそ、姉妹の仲はとてもよかったのです。
そんな優しかった姉がいなくなってから、両親の憎しみはすべて主人公のマリーに向かってしまう。この姿を見て、確かに姉の方が可愛いと感じても、そこでひいきをしてはいけないと強く感じます。
自分自身も親の立場だからこそ思うのですが、一方だけに愛情を注ぐというのは、家族内の関係を壊してしまう要因だと思うのです！それに、元々背が高くスタイルの良いマリーを醜いと差別するような発言や行動を取る姿を見て、今話題の「毒親」なのではと感じました。
二人子供がいる中で、片方だけを優遇するのはいただけませんね。私も気を付けなければ……。
あの姿は本当に気持ちが悪くなりますが、その刷り込まれた自信の無さをカバーしてくれるのが、今回のお相手であるキュロスになります。褐色黒髪で、緑色の瞳のイケメンです！いや、良いですね褐色の肌……個人的にとてもドキドキしてしまいます。
そして、令嬢としての振る舞いよりもマリーの人柄に惹かれていく姿はとても好感を持ちますよ。しっかりと相手を見ながら少しずつ距離を詰めようとしてくれる姿勢に、自然と笑顔になってしまうのです。
また、漫画家さんの力量もありますが、マリーを見つめる眼差しがとても優しく穏やかなのです。そのため、見ていてとてもこの二人を応援してくなってしまいます！母親心と言いますか、そっと背中を押してあげたくなってしまうのです。
始めは間違いでも少しずつ惹かれ合う二人
二人が出会ったのはマリーの誕生日ですが、暗めの裏庭にいてしかも地味なドレスしか着させてもらえなかったその姿に、キュロスもさすがに使用人と間違えてしまいます。そりゃそうですよね……しかし、学校で勉学に励んでいた主人公はすぐにキュロスの出身を理解し、「自分も好きな国だ」と伝えているのです。
短時間でも一緒に話ができたことで、キュロスはマリーに惹かれていきます。しかし、ここで一番大きなミスをしてしまったのです。それは、マリーを姉のアナスタジアと間違えてしまったこと。
マリーの誕生日会だったため、メインホールにいたアナスタジアを妹だと勘違いし、求婚の手紙を送ったのです。……いや、まぁ勘違いしてしまうことは良くありますが、そこで家族がマリーに「アナスタジアのフリをしろ」などと普通は言いませんよ。
しかも、自分の家が没落しそうという体たらく……姉にお金をかけすぎて、借金が膨れ上がっているのでしょう。そういった親に、私はならないと決めました。今ここで！
絶対に子供に負担はかけたくないですよね……。
……こほん、失礼。話を戻して、マリーのされてきた仕打ちをしっかりと理解した上で行動してくれるキュロスはとても優しいと感じます。それに、主人公の可愛さを侍女兼用心棒であるミオに言い聞かせる様は、オタクちっくで少し親近感が沸き上がりました。
やはり、好きな物事になると早口になりますよね。分かりますよ、キュロス様。自分の推しについて語るときは、どうしても舌が回っていつも以上に話しやすくなるというもの。だからこそ、語りたくなる気持ちも理解できますよ、キュロス様！
少しずつマリーの方もキュロスとのやり取りに心地よさを覚えて、自分の話をポロポロと出すようになります。しかし、どうしても自己肯定感が低いため相手からの誉め言葉を素直に受け取れずにいるのです。
そのいじらしさもまたマリーの魅力ではありますが、人によっては読者側から見て少しくどいと感じてしまう人もいるでしょう。ですから、この作品はイケメンの伯爵に愛されたいと感じている人や、自分を認めてくれているという実感が欲しい読者の方にお勧めですよ！
主人公の純粋さに周りも救われる
元々とても優しく周りへ意識を向けられるマリーだからこそ、親からの虐待まがいのことも「しつけてくれていたから」と飲み込んでし待っていたのでしょう。その姿に、キュロスも侍女ももどかしさを抱いているのです。
そして、キュロスの出身は元々あまり好ましく受け入れてもらえない土地であるイプサンドロスという場所。母親が旅芸人だったこともあり、本家から疎まれる存在になっていました。
そのため、キュロスの屋敷にいる使用人たちは、いろいろな土地からの移民が多いのです。どこの生まれでも関係なく、みな家族のように過ごそうとするキュロスの懐の深さが垣間見える部分ですね。
その姿勢に、マリーも共感を示してくれます。同じ気持ちを抱けるからこそ、使用人との距離も自然と近づいていきますし、マリーに対しての対応もとても微笑ましいものになるのです。
使用人たちからも慕われる彼女だからこそ、キュロスのそばにいるのがふさわしいと素直に感じられる良い作品だと思います。そして、少しずつ距離を縮めていく二人の姿は、私も見ていて自然と笑顔になっていました。
歩みはゆっくりだけれど、それがお互いのペースで歩んでいるようでとても微笑ましいです。
終わりに
もし、毎日がつまらないと感じている人や、誰かから強く思われたい欲求がうずいている人は、是非この作品を手に取ってみてください！夢のような一時を味わえると共に、イケメンの優しさに包まれて気持ちが穏やかなものになりますよ！
では、また次の作品でお会いしましょう！