物語が心の支えになる!『捨て悪役令嬢は怪物にお伽話を語る』

物語が心の支えになる!『捨て悪役令嬢は怪物にお伽話を語る』

氷雨
氷雨

こんにちは、女性向けなろうコミックのレビューをしています氷雨と申します。

今回紹介する作品はこちら。『捨て悪役令嬢は怪物にお伽話を語る』というコミックです。この作品は、悪役令嬢として捨てられた主人公が隣国の陛下に拾われ、司書として大好きな本に囲まれ生活していく作品です。

さて、まずはあらすじから参りましょう。

あらすじ

わたくし、シルフ・ビーベル公爵令嬢は捨てられました。

親から、国から、婚約者から、親友から、捨てられました。

生まれたことが罪なのだと、悪役令嬢の末路は決まっていると、彼女は言いました。

ありもしない罪をかぶせられ、友人に嵌められ、婚約を破棄され、国外追放されました。

しかも、よりにもよって「怪物が住まう国」と名高い、ダーゲンヘルムの怪物が住む、ダーゲンヘルム王国の森のはずれに。

このままきっとダーゲンヘルムの怪物に食べられてしまうと思っていましたが微かな希望を込め、檻の前の地面に書いたのです。

「捨て悪役令嬢です。噛まない、吠えない良い子です。拾ってください。」

物語が大好きな令嬢

主人公であるシエルは公爵令嬢の箱入り娘として育てられていました。周りから期待を受けつつも敷かれたレールの上を歩いている中で、心が休まる瞬間があるのです。それが読書でした。

現実とは違う世界へと旅ができると感じるシエルの気持ちはとてもわかります。私自身も読書が好きで、さまざまな物語を読んでいましたから。

私の子どもも本は好きなのか「読んでー」と持ってくることも多いです。普通の小説も良いですが、漫画も本ですし好きで色々な作品に触れるのは、感性を豊かにすると私は思います。

あまり、漫画ばかり読むなと言われることが多いですけれどね。私自身は問題ないと思います。コミックがきっかけで知識が増えていくこともありますからね。

そんな主人公は家にある本だけでは満足できなくなっていき、自分の好きな物語を読むために「図書館」へと忍び込むようになります。幼いころから出入りしていたことを司書の人たちは見守っていたのです。

そこで、出会う少女が「カンナ」という名前の子どもで、シエルと仲良くなり距離が縮まっていくのでした。

カンナはこの国にはない物語をシエルに聞かせるほどに仲良くなるのですが、その物語は私達が知っているグリム童話なのです。

他にもイソップ童話なども含まれていたと思いますが、彼女……実は転生者?もしくは転移者?その存在が気になります。

隣国の王は物語が好き

仲良くなったカンナとの距離が近くなる中で、シエルの婚約者である王子様に目をつけたカンナ。王子や国には興味がないシエルは今まで通り図書館にこもるのでした。

しかし、その行動が自分の運命を変化させることに繋がります。なんと、カンナがシエルの婚約者に取り入り、彼女を追放してしまうのです。

隣国は怪物が住んでいると言われている国であり、乙女が捨てられてしまった場合は骨も髪の毛も残さずに食べられてしまうと言われています。

……実際はそんなこと無いのですが。シエルはその隣国の森の中へ捨てられ、意識が薄れる前に檻の前に書き残した言葉は「捨て悪役令嬢です。噛まない、吠えない良い子です。拾ってください。」でした。

氷雨
氷雨

いや、なかなかユーモアのある言葉ですよね。極限状態で自分を拾ってもらえそうなセンスのある書き置きはできないです。

というか、私にはできない……そういった言葉は全然出てこない気がします。

その後、隣国の陛下に拾われたシエルは願ってやまなかった王立図書館の司書として働くことができます。

ずっと本に触れていたい、愛でていたいという願いを聞き届けてもらえたシエルは幸福感に満たされていきます。

本好きとしては本当に書籍に囲まれているという日々は幸せだと感じますね。私もできるのであれば、司書として働いてみたかったと感じることはあります。

本を大事に扱いたいからこそ、シエルの気持ちもわかりますもの。

仕返しは物語で……

現在出ているのは3巻までですが、その中でシエルをおとしめたカンナは牢獄へと入れられ主人公の国の公爵や王様、王子は皆死んでしまいます。

すべては、カンナの子どものようなわがままによって。しかし、シエルは国よりも自分の好きなものを選び、怒ることもしませんでした。

隣国にいることで、自分の求むべき道をしっかりと受け止めることを知ったからこそ、拾われた国にいたい。自分の求めたものを守っていきたいと考えるようになります。

そして、カンナを殺そうとは思わないシエルでも、陛下の気持ちを考えた上で罰を下します。それが、「1年間毎日物語を紡ぎ続けること」です。

もちろん、作っても良いですし、記憶の中の話をするのでもOKです。もし、1日でも話せなくなったら死が待っているというゲームでした。

このゲームを作ったのはシエルですが、陛下とカンナの命を天秤にかけて考えながら編み出したものであり、物語や芸術が好きな国だからこその行動です。

相手への情けはあまり持っていないけれど、みすみす殺すようなことはしたくない、それは、カンナもまた、自分の友人だから。

思いやりを忘れず、しかし、自分の自由は手放さない方法を探す。不器用だけれど、しっかりと歩んでいく主人公だからこそ、読んでいてのめりこめる作品なのかなと感じます。

おわりに

3巻のラストが気になる終わり方になっていますので、この先が早く読んでみたいと思わせる作品となっています。

また、陛下とシエルのロマンス(?)やカンナの隠していること、まだまだ紐解きたい部分がたくさんありますので、気になった方はぜひ手に取ってみてください。

言葉遊びも面白い作品ですから、読んで見る価値ありですよ。

氷雨
氷雨

それでは、また次の作品でお会いしましょう。