<strong>ヒロインだからって何もかも許されるわけじゃない!「悪役令嬢の中の人~断罪された転生者のため嘘つきヒロインに復讐いたします~」</strong>

ヒロインだからって何もかも許されるわけじゃない!「悪役令嬢の中の人~断罪された転生者のため嘘つきヒロインに復讐いたします~」

氷雨
氷雨

こんにちは、女性向けのなろうコミックをレビューしている氷雨と申します。

今回初回する作品はこちら!『悪役令嬢の中の人~断罪された転生者のため嘘つきヒロインに復讐いたします~』になります。

まずは、あらすじから参りましょう。

あらすじ

乙女ゲームの好きな平凡な少女、小林恵美は目を覚ますと乙女ゲームアプリ「星の乙女と救世の騎士」の悪役令嬢レミリアになっていた。世界の滅亡と自身の破滅を回避するために恵美は奔走する!

……その努力も虚しく、同じく転生者であるヒロインの「星の乙女」に陥れられた恵美は婚約破棄された上で星の乙女の命を狙ったと断罪された。そのショックで意識を失った恵美の代わりに、中から見守っていた「レミリア」が目を覚まし、可愛い「エミ」を傷付けた星の乙女と元婚約者の王子達に復讐を行う。

この作品の主人公は、転生者であるエミではなく、レミリアになります。そして、あらすじの通り、同じく転生者であるピナというヒロインと婚約者たちに復讐をしていくストーリーです。

転生者と悪役令嬢との絆

ストーリーの最初はエミとレミリアが入れ替わったところからスタート。レミリアも始めは驚いてその現象に驚いてしまっていたものの、エミの反応や愛されているという事実に喜び、幸福を感じている姿がなんともいとおしく感じます。

それに、エミの優しさや自分がどれだけそのエミに愛されているのかを実感するたびに、レミリアも自然と穏やかな気持ちと表情になっているのを見て、心が癒されるのです。

そして、ゲームとは少しずつ変化する状況に、普通であれば自分と敵対するであろう攻略対象たちとの関係が深まっていきます。

普通であれば、ゲームのヒロインである星の乙女が救うべき攻略対象たちが少しずつレミリア扮するエミと交流を深めていくのを見ていると、楽しそうだなと素直に感じる部分が多いです。

私も子どもはいますが、今でもたまに乙女ゲームがやりたいという気持ちが顔を出すこともあります。

氷雨
氷雨

……時間が許せばやりたいですが、作りだすのは大変ですね。

そんな幸せな時間も終わりを告げます……そう、星の乙女の入学によって。

ゲームヒロインの顔芸

学校で過ごしている姿は周囲からも完璧な淑女に移っているエミですが、編入生が突然入ってきます。それが、この世界のおとぎ話で有名な星の乙女といわれる存在、ピナです。

初回からとても良い顔芸をしてくれる存在です。そして……見てわかる通りのぶりっ子気質。

氷雨
氷雨

個人的にはこの女の子とは絶っっ対にお近づきになりたくないですね。

ゲームをやっていたエミにとっては、本編が始まったと覚悟を決めつつ様子見を決めていましたが、少しずつ歯車が狂い始めます。そして、誰もいない場面で暴言を吐いてくる様子は、まさにいじめっ子そのもの。

むしろこの子の方が悪役令嬢じゃね?と思うほどの振る舞いです。個人的にはイライラしてしまいますが、良いキャラ付けをしているなと同時に感心しています。

しかし、少しずつ状況は悪化……ピナがゲームで使えるアイテムの力を使い始めたのです。その影響から、次第にエミの味方が激減。覚えのない悪意に傷つけられ、エミの中にいるレミリアも見ていることしかできない無力感にさいなまれます。

復讐は少しずつ……

そして、最終的にはエミとすれ違った際、ピナはわざと階段から落下し突き落とされたと被害者面をするのです。そして、今まで絆を深めてきた婚約者たちから犯人として扱われ、エミは失望し意識を失ってしまいます。

正直、アイテムが原因とはいえ、ここまで手のひらを返されては流石に失望してしまうのもわかります。そして、失望した際の表情の描き方がとても美麗で迫力があるのです。この作品のキモはある意味漫画家さんの画力もあると思います。

そして、意識を失ったエミの代わりにレミリアが表に出てくるのです。今までずっとエミの行動や周りから受ける気持ちもすべて見てきたからこそ、ここからレミリアはエミを守るために行動し始めます。

そして、エミを愛しているレミリアは彼女を傷つけた全員に復讐を決意します。また、何よりもピナに対しては並々ならぬ復讐心を持っているため、自然と表情も悪役令嬢っぽく描かれるのです。

作中の言葉を借りるのであれば、『何よりあの女。お前だけは何があろうと、生きたまま地獄に落とす。わたくしの笑みを絶望させたその罪は、死で贖(あがな)うことすら許さない』と。

いや、激おこじゃないですかレミリアさん。もちろんわかりますよ、わかりますが……元々の悪役令嬢を怒らせると本当に怖いんだなと実感しますね、コレ。

おわりに

まだまだ語りたいことはたくさんありますが、これは、実際に読んでもらいたい気持ちが強いのでここまでにしておきましょう。

実際、ピナの顔芸がすごいですし、この漫画家さんは力があるからこそ感情移入もできる部分だと思います。そして、個人的にはゲームにある『課金ショップ』を潰す手法もお見事、といったところですね。

いわゆる追放ものというカテゴリに入るマンガではありますが、とてもスカッとする作品になっています。そして、復讐が少しずつ前へ進んでいく心地よさも楽しめるポイントだと思います。

また、ピナの顔芸にその都度笑わせてもらえますので、スカッとした作品が読みたいと考えている人はぜひ手に取ってみてください。

氷雨
氷雨

それでは、また次の作品でお会いしましょう。