鈍感さにも限度が大事!「旅の勇者は宿屋の息子を逃がさない」

鈍感さにも限度が大事!「旅の勇者は宿屋の息子を逃がさない」

氷雨
氷雨

こんにちは、女性向けのなろう系コミックをレビューしている氷雨と申します。

今回レビューする作品はこちら!

「旅の勇者は宿屋の息子を逃がさない」です。まずは、簡単にあらすじを紹介いたします。

あらすじ

宿屋の息子として異世界転生をしたルース。前世ではクマのような体格で女性との縁がなかったが、転生先では美青年に生まれたため、かたっぱしから女性に声をかけていた。しかし、結果は散々。そんな時、幼馴染で親友のアレクが勇者だと発覚し、なぜかルースに「返ってくるまで待っていて欲しい」と懇願して……。

何の力も持っていないルースは、平和な村での事件に巻き込まれるうちに、勇者の運命に大きく関わり始める。

この作品、表紙を見ると分かるのですが、BLの作品になります。そのため、少し人を選んでしまうコミックかもしれません。しかし、普通の女性向けコミックと同じように、ギャグ作品として楽しむこともできるのです。ですから、毎日の中に笑いが足りないと感じるのなら、そっと手に取ってみるのも良いと思います。

主人公は女好きだからモテない⁉

転生前の主人公は全くと言って良いほどにモテなかったとのこと。また、確かに学生時代に身長が高くて体格も良い、顔もいかついとなると確かに女性は一緒にいるのを嫌がる人は多いのは分かります。しかし、内面を見てくれる異性もいたのではと少し疑問が浮かんでくるのですが、あれ?

これ、もしかしてルースの性格に難ありだった可能性、あります?確かに、転生先では体格の良いゴツめの人が好まれるのは分かりますし、ルースは美青年ですから悔しい思いをするのは分かる。しかし……絶えず女性に声をかけていて、しかも特に魅力を感じない男性からの誘いは、少し疲れてしまう気がします。

もし、主人公から付き合って欲しいと言われた場合、私なら迷わずに「NO」というでしょう。だって、誰彼構わずとか必死になりすぎじゃない?とか感じてしまいますし。

そんな姿を子どもたちにも見られている上、あだ名で「女好きルース」なんて呼ばれた日には……私がもし主人公なら、しばらく女性から距離を置きます。多分、モテたすぎて必死になっているからこそ、お相手が見つからない気もするので……。

鈍感もここまでいくのか……

女性にもてないながらも、男性には魅力的に映るルース。その姿に幼馴染のアレクは気が気ではないのです。当の本人は全然男性に興味がない「ノンケ」ではありますが、人としてアレクを大事に思っています。その姿勢は、見ていてとても美しいとは思うのですが……。

どう考えても鈍感すぎる‼とても分かりやすくアプローチしてくれているアレクなのに、その感情を全然受け取ってもらえないのは、寂しくなります。もちろん、鈍感系主人公の需要はあるのは分かりますし、相手側も分かりやすく動いてくれるので読者側もときめく場面が多くなります。

しかし、ルースは違う!何が違うって、その鈍感さの度合いが全く違うのです。普通なら、二人きりになった段階で何となく察する人もいるでしょう。そして、触れ合ったりキスをしたりと段階を踏む中で気づくとは思います。

しかし、このルースは一夜を共にしても、アレクの気持ちに気付かない!……あ、一夜を共にしたという表現にはしていますが、致す表現が少しだけあります。もちろん、明確には描かれていませんが、お互いに裸で相手は男性でお尻が痛い……察しの良い読者なら分かりますよね?

その表現をした後、ルースの一言は「尻が痛い」です。そして、その後に続くセリフが、「ところで、あいつ何がしたかったんだ?」という一言。いや、ちょっと待ってくださいよ!さすがに鈍感な主人公でも気付く場面じゃないですか!

相手を抱くってことは、それだけ好きで仕方がないという証拠でしょう。それなのに、何がしたかったか分からないは、アレクが可哀想すぎる……。少女漫画でも鈍感なヒロインはいますが、あれは度を超えている!

氷雨
氷雨

あれは、鈍感じゃない!アホだろ!?

もう少し、もう少しだけで良いので、ルースに相手の気持ちを考える意識を持たせてあげてください!でなければ、お相手役のアレクが報われないように思えます。

ヒーロー役がいないのに新しいお相手が?

自分が勇者だと言われ、旅に出るアレクを見送ってから村に襲い来る魔物やら動物を狩る仕事は、ルースや村の男性陣に任されるのです。その中でも、主人公は見た目の影響もあって、ずっとお荷物だと思われています。

しかし、それはアレクの計画が原因です。村の外に狩りに出かける時は、必ずルースと二人で行っていたため、周りからは荷物持ちだと思われていたとか。確かに見た目が中性的で身体のラインも細いからこそ、男性から見たら「守りたい存在」に感じているのでしょう。

だからこそ、周りの男性から嫌がられていると主人公は感じていたとしても、その実とても魅力的で気になる視線を向けられていたのです。当人からは確かに理解できない部分でしょう。

そんな主人公、父親と共に狩りに出ていたところでアレクの代わりになる騎士団を魔物の襲撃から救うのですが、その際助けた団長がルースに一目惚れ。それは、完全に女性と間違えているけれど、部下の前で恥をかかないようにと気を回したことが理由にあります。

その気遣いはできるのに、なぜ恋心だけ鈍感さに特化しているのやら……。男性として、気遣いはできるのは好感が持てますが、さすがに恋愛対象としては見れないなあ。

おわりに

この作品、ギャグ漫画としてはとても面白く読めますし、相手役のアレクがまたイケメンでとても素敵に感じます。そして、BLではあるけれど、そこまで色っぽい表現も多くないのですんなりと読めるのではないでしょうか。

BLは読みたいけれど、何から手を出して良いのか分からない人や、普通のBLコミックでは物足りなくなった人はぜひお手に取ってみてください。新しい世界の扉が開けるかもしれません。私自身、なかなか楽しみながら読ませてもらいましたし、原作は小説なのですがコミックスの続編も気になります。

また、普通の恋愛マンガに飽きてしまった人にもおススメの作品ですので、ぜひ手に取ってみてください。

氷雨
氷雨

それでは、また次のコミックでお会いしましょう!