幸せは束の間だけれど記憶が自分を支えてくれる『王女殿下はお怒りのようです』

幸せは束の間だけれど記憶が自分を支えてくれる『王女殿下はお怒りのようです』

氷雨
氷雨

こんにちは、女性向けのなろうコミックをレビューしている氷雨と申します。

今回紹介する作品はこちら!『王女殿下はお怒りのようです』になります。

まずは、あらすじから参りましょう。

あらすじ

戦乱の王女として生まれ、最強の魔術師と謳われたレティシエル。隣国の侵攻によって家族と伴侶を失い、魔術の力を敵国に奪われないため自ら命を手放した──はずが、目を覚ますとそこは見知らぬ天井だった。

情報をかき集めてみると、レティシエルはどうやら別の人間として千年後の世界に転生していたらしい。しかも家族や周囲の人間、婚約者にすら疎まれている無能令嬢として。

色々と物申したいことがある中、千年後の世界における魔術の術式を目の当たりにし──そのお粗末さに“魔術バカ”のレティシエルはブチ切れた!?

「この世界の魔術レベル低すぎっっっっ!!!」

始まりは主人公のレティシエルの住んでいる国での幸せな時間をゆっくりと追体験していくような形になります。しかし、その穏やかな日も突然終わりを告げるのです。そこから、自決を選んだ主人公ですが、突然自分の知らない国に転生してしまい混乱しながらも世界を救うというストーリーになります。

主人公はとても冷静で自分のやるべき物事に対し、きちんと向き合う強さを持っている女性です。そのため、読んでいて凛とした姿勢にこちらも身が引き締まる思いを抱く場面が多いと感じます。

生前の幸せな日々から一転した戦争

生前のレティは王女としての責務から魔術を使い、国民を守っていたとても責任感の強い女性でした。しかし、その暮らしの中で異世界からやってきた「ナオ」という男性と出会い、世話をするようになるのです。

その中で、育まれる愛情はとても温かく、一緒に手を取り合いながら歩んでいく姿を見てそのまま幸せになってほしいという気持ちがあふれてきます。それに、自分の立場をきちんと理解しているからこその我慢強さを解くナオの存在に、私もドキドキしてしまいました。

あんな風に寄り添いながら、「抱え込みすぎないように」と支えてくれる男性はとても珍しいと思いますし、なかなかリアルではいないと感じるからこそ、彼氏にしたいなと感じる部分も多くあります。

しかし、その幸せも長くは続きません。せっかく気持ちが通じ合い結婚をしたナオとレティではありますが、隣国が突如攻め込んできます。何とか自分の城での籠城で持ちこたえる中、彼女の父である王が相手に捕らわれ、目の前でさらし首に。

正直、この描写は少し残酷なので苦手な方はご注意くださいね。その中で愛すべきナオも戦の中で亡くなり、レティを支えてくれていた人達はみんな息を引き取ってしまうのです。その悲しさは語るよりも漫画を見たほうが分かりやすいかと思います。

転生先での主人公のロマンス

そして、戦に負けたレティの国は隣国に蹂躙されるのですが、その際主人公は襲い掛かってきた魔術師の短剣を奪い取り自殺を図ります。確かに、自分の守るべきものをすべて奪われてしまった状態なら、自分だけが生きていても仕方がないと感じるのも普通のことです。

そして、目を覚ましたレティを呼ぶ名前は、「ドロッセルお嬢様」という自分のものとは別物。自分が何者なのかわからなくなる主人公の前に、執事がそっと寄り添ってくれます。この執事、ルヴィクというのですが長髪のイケメンさんでした。

確かに執事と聞くと、こう首の後ろで髪をまとめて燕尾服を着ている印象がありますが、本当にその通り。甲斐甲斐しく主人公のお世話をしてくれるのですが、どこか過保護であり、一線を引いているような感じもします。

その反応に、レティも「ドロッセルは何をしたのか」と疑問に思うほど。両親からも疎まれる存在だと感じるのもあり、まずは現状の把握から行動しようと動き出します。とりあえず学校へ向かうことを決めたレティ。そんなレティの元に、1人の男性が現れるのです。

その姿は自分が愛した男性と瓜二つな人。しかし、名前は違い、「ジーク」だと自己紹介をしてくれます。その男性の付き添いで図書室へと向かい、今の世界のことを把握しようとするのです。

その中で、レティと関わってからジークにも少しずつ変化が。今までは特に感じなかったものの、レティの声でナオと呼ばれた途端、何かを忘れているような感覚になるのです。

氷雨
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いや、これ多分生まれ変わりですよね……?明言はされていませんが、そんな感じがしますよ!

学園での生活の中で、ジークとレティは何度も接点を持つことになります。そして、レティにも友人ができたり自分の婚約者(権力を笠に着た赤ん坊のような男性)が現れたりと、なかなか賑やかな生活を送り充実した日々を過ごすのです。

レティを付け狙う仮面の男

しかし、その生活の中で暗い影が忍び寄ってきます。自分の魔術とは異なる魔法を教えている学園の中にある訓練所で行われる授業に参加した主人公。しかし、周りからは「魔力なし」と呼ばれているのが分かります。しかも、そこにドロッセルの婚約者であるお貴族様まで現れる始末。

正直、この男性が一番イライラしてしまいました。もちろん、レティが転生する前の宿主がとても傍若無人だったのもありますが、妹に対しての対応との差に寒気がしてしまうくらいです。

しかも、魔力が多いからとふんぞり返る姿は、本当に子どものようで……正直、この人が婚約者だと言われたら全力でお断り申し上げますよ、私は!!こんな子供のような男性を相手になんてしたくありません!

氷雨
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どう考えても未来は「モラハラ夫」まっしぐらじゃない!

おっと、すみません。取り乱しました。自習室で魔力が低いと言われたミラと一緒に話をしつつ、自分の知っている魔術を披露する姿はとてもほっこりしますね。元々のレティの優しさが全面に出ている描写で、私はとても好きな場面です。

しかし、突然教室内に黒い禍々しい霧が出現。その霧は、レティを狙っているようでした。宿主であるドロッセルの恐怖心から動けなくなったところをからめとられ、捕らえられてしまいます。その中で、おどろおどろしい声が響くのです。

その言葉は、長い時間待っていたということ。そして、1,000年待ち続けたと言ってレティの名前を呼んだことから、彼女と同じ時代に生きていた事実が分かります。しかし、その相手の名前は分からずじまい。

自分の質問に答えないその黒い霧に怒りを覚えるレティは、自分の使える魔術を使って暗闇を吹き飛ばします。その姿は以前のドロッセルとは全く違うものであり、周りも困惑。そして、その場に現れた妹の姿……ここから先、どうなるのか?

といったところで一巻が終了になります。先が気になる終わり方をしていますし、早く続きが読みたくなりますね!

おわりに

もし、ファンタジー系の作品が読みたいなと思っている方は、ぜひこの作品を手に取ってみてください。ロマンスあり、戦闘あり、そして魔法の描写もとてもきれいですよ。それに、落ち着いたイケメンが好きな人も、これはツボにはまると思います!

機会があったら、ぜひ触れてみてくださいね!

氷雨
氷雨

では、今日はここまで。また、次の作品でお会いしましょう!!